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| エネルギーセキュリティから見たイラク攻撃 |
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私たちの生活は、さまざまな「エネルギー」によって支えられている。 多くのサービスは電気がなければ成立し得ないし、交通もそのほとんどをエネルギーに依存する。エネルギー供給にひとたび問題が生じれば、経済が大きな打撃を受けるだけではなく、私たちの日々の生活にもさまざまな影響が起こる。エネルギーは全ての人々にとって必需品であるが故に、ごく僅かな供給不足が大きな価格上昇を引き起こすためだ。 すでにエネルギー資源は民間市場を通じての調達が可能であるとも言えるが、国際的な紛争が発生すれば、戦略商品としての性格が強まり、国家対国家として交易上の障害が発生する可能性が高いことから、エネルギーに関する危機管理は、各国政府の主要任務であると言える。 私たちの安定した生活のために、エネルギー安定供給の確保と総合的な危機管理、つまりエネルギーセキュリティは重要な国家戦略なのである。 緊急時対応体制の整備(エネルギーの備蓄など)や、供給源の分散、原産国への開発支援、国策としての投資・・・。多角的な方策が、世界各国で、また、エリア単位で取り組まれている。 しかし、近年、原産国の原油余剰生産能力は縮小し、さまざまな理由によって価格変動性が高まり、世界のエネルギーセキュリティは心許ない状態となっている。 2000年には、アメリカで暖房エネルギーの不足が短期的に強く懸念され、イギリス、フランス等では燃料価格高騰に対するデモの発生等、欧米では原油価格の高騰が国民生活に影響を与える事態に発展した。さらに、アジア地域ではようやく回復しつつあった景気を減速させる要因となるなど、原油価格の高騰、不安定性は世界経済に対して多大な影響を及ぼし続けている。 また、将来においても、急激な成長を遂げているアジア各国の経済成長率が5%程度の水準で推移すると仮定した場合、2020年のアジア地域のエネルギー消費は約2倍を越えると予想され、国際エネルギー市場や地球環境に及ぼす影響が懸念されている。 今日、世界のエネルギー需給構造は、非常に脆弱である。 日本は、「環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギーの安定供給を実現する」ことを基本目標としているが、既存の石油、石炭、水力の他、新エネルギーと言われる天然ガス、太陽熱、風力、地熱などの自然エネルギー、原子力エネルギーと供給源が多様化する中、欧米諸国に比べて石油依存度、中東依存度が高いことが問題点として指摘されている。 世界各国はエネルギーの備蓄に国策として取り組んでいるが、日本においても、二度にわたる石油危機と湾岸危機を経て、国家備蓄と民間備蓄の体制を整えており、2002年7月末現在で、国家備蓄81日分、民間備蓄91日分の合計172日分、9,147万キロリットルの石油を蓄えている。 しかし、1980年代半ば以降、石油依存度は50%台半ばの水準で下げ止まり傾向にあるが、石油輸入の中東依存度は1980年代半ばまでの低下傾向から反転し、現在は、ほぼ30年ぶりに第一次石油危機時を上回る水準まで上昇している(1973年度77.5%、1999年度86.2%)。 中東依存度が高いことがなぜ問題かと言えば、その政情不安定がまず挙げられるだろう。 現実に、イラク攻撃の観測だけで、原油価格は1バレル当たり23ドルから30ドルに上昇した。実際に攻撃があればさらに跳ね上がると見られている。経済制裁により輸出制限を受けているため、イラクの現時点での原油生産、世界の原油供給量の2%以下に過ぎない。しかし、その影響力は看過出来るものではない。 石油輸出国機構(OPEC)議長が条件付で増産を検討する可能性を示唆するも、OPEC総会では原油の生産枠を引き上げる必要はないと合意、OPEC非加盟国からも足並みを揃える発言が報道され、不安定要素は依然強く残ったままとなっている。 日本にとって、中東地域及びアジア地域における政治経済情勢の安定は、エネルギーセキュリティ確保の視点にとどまらず、経済や生活の安定にとって必要不可欠な要素であり、国益確保という観点から、中東、アジア地域への幅広い外交努力で、国際的な平和秩序維持に貢献するために、戦略的な取り組みが必要である。 エネルギー供給に大きな影響が及び得る事態が発生する場合には、その影響はエネルギーに限らず様々な分野に及び得る。そうした緊急の事態への対応として、エネルギーセキュリティも含めた政府全体としての統合的な危機管理体制のあり方について検討が必要ではあるが、そもそも緊急の事態が起こらないよう、最大限の外交努力をしなくてはならないことは明白だろう。 エネルギーセキュリティ確保に当たっては、より効率的かつ効果的な政策が必要とされるが、それは、戦争回避以外の何ものでもないのではないだろうか。イラクへの攻撃が現実のものとなり、周辺の情勢が変動すれば、例えば、実現に向けて大詰めを迎えているイラン沖の天然ガス田開発プロジェクトにも影がささないとも限らないのだ。 日本単独の国益のみならず、世界のエネルギーセキュリティという観点からも、イラクへの攻撃は回避すべきである。日本政府が、国民に対し、また世界に対して、その義務を果たすことを期待する。 |
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| (文責:松田祥世) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (参考文献・出典) エネルギーセキュリティワーキンググループ報告書 http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g10628bj.pdf エネルギー・資源を取り巻く情勢(資源エネルギー省) http://www.enecho.meti.go.jp/energy/index.htm 統計資料リスト(石油連盟) http://www.paj.gr.jp/html/statis/ |
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※ イラク攻撃に関する全国会議員公開アンケート実行委員会事務局 ※ URL http://www.eeeweb.com/~research/ E-mail organizer@anet.ne.jp | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||